掲載された内容は取材時のものです。
カルデラという大きな器。ここに身を置き、ここで作っていく。
阿蘇坊窯
山下 太
阿蘇好きの父の感化で、この自然に魅せられた。
庵と呼びたい仕事場を山のふところに持つ山下太さんは、時間があれば、奥へ奥へと山道を逍遥します。
かつてこの地は僧侶の住まう「坊」がたくさんあったところ。
修行や思索にふさわしい静まりが満ちている。
世界に冠たる阿蘇のカルデラは、つまり壮大な器。
その器にわが身を置き、日々、自らの手のなかで器を作る。
なるほど、とても美しい関係です。
もちろん染めるのは、阿蘇の草木の釉薬。
今日も掌のなかに阿蘇が焼き上がっていきます。
工房に並ぶ作品群は、ふと物思いにふける古代人のように、無口で創造性に富んでいます。