人の暮らしの、ハッピーな場面に欠かせない。

バラ農家
村上一成

温泉の熱を温風に変え、ハウスのなかに送りこんで栽培。
それが村上一成さんのバラづくりです。
いってみれば、火山に温められた湯で華麗な花を一年中咲かせる。
薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花咲ク ナニゴトノ不思議ナケレド
と詠んだのは明治生まれの詩人北原白秋でしたが、たしかに、なにごとの不思議はなく咲いているのに素っ気ない木から生まれるバラのあの絢爛さは奇蹟のようでもある。
育て上げた花束を抱く栽培名人も、武骨に見えてどこか妖艶……。
品種がきわめて多く、色のバリエーションも豊かな花。
今年ピンクが流行ったから来年も流行るとはかぎらない。
そうしたバラづくり、いちばんの魅力は?
「人の暮らしの、ハッピーな場面に欠かせないというところでしょうか」