掲載された内容は取材時のものです。
石ころひとつをしげしげ見つめて、地球を考えよう。
阿蘇火山博物館
池辺伸一郎
科学少年の好奇心と、アカデミックな分析力が同居する池辺伸一郎さんは、阿蘇火山博物館のチャーミングな館長だ。
大学では地球物理学を専攻し、地震を研究していくつもりだったが成り行きで同博物館に携わることになる。
火山への思いがさほど深くはなかった。
が、赴任してまもなく、火口を見る機会がおとずれて一変した。
夜の闇を切り裂く炎、火山ガスが燃える火炎現象を目撃する。
地球の生の火だ。
「感動というより、底知れぬ寒気のようなものをおぼえました」
以来、阿蘇山がライフワークとなる。
「地球科学とは、地球との対話です。といっても大げさなことでなく」
足元の石ころひとつを観察し、考え、想像の翼を広げることだと館長は言う。
なぜ、こんな形なのだろう、なぜ、ここに落ちているのだろうってね。
科学少年のように微笑み、物理学者のように鋭い。