ショコラのなかに餅を入れるというアイデア商品を創作した。
電子レンジで温めたらお餅が盛り上がるよ、まるで噴火みたいに。
と教えてくれたのはお客さん。いかにも阿蘇だね、と。
「中岳ショコラ」と名づけて、いまや人気の看板商品に育った。
中村浩さん夫妻は高校の同級生。
卒業してからもずっと付き合いはつづいた。
菓子店は妻・仁美さんの実家だ。兄が意欲的にあとを継いでいた。
ところが悲運がおきる。その兄が不慮の事故で急逝したのだ。
悲嘆にくれる両親を見かねた仁美さんは、自分が店を引き継ぐと決めた。
その決意を重く受け止めたのは、ほかでもない浩さんだ。
勤務していた大手輸送機器メーカーを退職し、
「おれも手伝うよ」。
夫婦となって、ずぶの素人として菓子作りの初歩から二人三脚です。
愛は強く、ショコラは甘い。