掲載された内容は取材時のものです。
赤いしずくの工芸品。
イチゴ農家
宮本陽一
阿蘇市といえばイチゴ、と言い切るひともいるほど収量が多く、評判も高い特産品ですが、この、リンゴや梨と同じくバラ科の多年草植物は、栽培するのに大変手間がかかることで知られています。
種子を蒔いて育てるのでなく、ランナーを育てて植えつけていく。
蔓状で地上を這い、先端の芽から根を出して繁殖するランナー。
繊細なその匍匐茎は、入念な栽培作業を象徴するかのよう。
ワザとコツはもちろんのこと、求められるのは集中力と根気だ。
「一年中、気を抜くことができません」
と言う宮本陽一さんはJA阿蘇中部イチゴ部会の部会長であり、腕の確かさで知られている。
地を這う赤いしずくの群れは、どこか工芸品のようでもある。