阿蘇花野協会 瀬井純雄

掲載された内容は取材時のものです。

ハナシノブが泣いている。

阿蘇花野協会
瀬井純雄

絶滅危惧種に指定される薄紫の楚々としたハナシノブ、それは小学校校長だった瀬井純雄さんにとって特別な花である。
生物学専攻の大学生時代、この花を求めて阿蘇を彷徨した。
卒論テーマはこの花を中心にした草原植物だ。
卒業後、中学校の理科教師になってからも、
「朝四時に起きて草原をぐるっと調査してから登校するという日々でした」
孤独な作業だったが、思いがけずこれがブレイクした。
熊本日日新聞に「ハナシノブが泣いている」と、とりあげられたのがきっかけ。
当時の細川護煕熊本県知事が着目し、全国初の希少野生動植物保護条例の制定へと繋がった。
「草原は手をかけなければ死にます」
花に心を奪われつづけてきた人は穏やかにきっぱりと断言する。