掲載された内容は取材時のものです。
夫の好きなどぶろくも手づくりで。
阿蘇乃やまぼうし
阿部かちみ
阿蘇谷を一望できる大観峰のふもと、一軒の古民家が周囲の木々の緑にほどよく溶けこんでいる。
白い十字架形の花を咲かせる落葉高木ヤマボウシを名に取った郷土料理の店「阿蘇乃やまぼうし」です。
女将の阿部かちみさんが十五年前に夢をかたちにした。
ずっとつづけてきた農業、畜産業も手を抜かず、そのうえで店の営業を展開する。
清冽な地下水、無農薬合鴨米、あか牛といった
「阿蘇の恵みを素材に、丹念に手づくりします」
建築業の夫が店の構造に腕をふるった。
なかでも囲炉裏はじつに美しい。
阿部さんは、なんとどぶろくの名手でもある。
懸命に勉強し、厳しい審査も受ける本格モノを作ろうと一念発起したのは、そもそも、
「主人が好きだから、飲ませてあげたくてね……」