皮と餡と芋が、美しい和音となるように。
渡辺饅頭
渡辺公介
不意の来客があってもいきなり出せる菓子、あるいは、生の芋を調理する「生き成り」、というふたつの意味が重なっているといわれる郷土菓子が「いきなり団子」だ。
「いきなり団子は渡辺饅頭にかぎる」
というファンが少なくない。
ありがたいことです、渡辺公介さんは謙虚に頭を下げる。
両親は、車でスーパーマーケットを巡回する
菓子の移動販売を営んでいた。
子どものときから、父と母の商品への思い入れの強さを見て育った。
渡辺饅頭のいきなり団子づくりにそれが投影しています。
地元農家が丹精こめて作ったさつまいもを使い、皮から餡まですべて無添加の手づくり。
とりわけ餡には想いを託す。
機械ではなくしゃもじを手で動かし、語りかけるように練る。
「皮と餡と芋が、三位一体の美しい和音を醸し出すように……」