掲載された内容は取材時のものです。
ふるさとは、山と野と人の情でできている。
阿蘇市立内牧小学校
六年一組・二組
阿蘇に大雨が降り壊滅的な水害となったのは、平成二十四年の夏だった。
内牧小学校では児童たちにこう呼びかけた。
被害の甚大さはむろんのこと、まちの人びとが不屈に立ち直る姿、献身的なボランティアの活動などを自分の目でつぶさに見届けなさい。
子どもたちは従った。そのあとのことだ、全校児童に
「きみたちは将来何になりたい」と質問すると
「ほとんどの子たちが、『人の役に立ちたい』と書いたのです」
校長先生はぐっときた。
よし、ならば阿蘇復興の様子をきみたちが発信しなさい。
それが始まりだった。児童たちは豆記者となって「然」の人びとを取材する。
「おじさんたち、おばさんたちは、みんな優しかったです」
汗を流した取材は、一冊の印刷物に結実した。
少年少女たちは、数十年後すっかり大きくなってこう気づくことだろう。
ふるさとは、山と野と風と、そして人の情でできている。