気取らず、気負わず、ふだんの自分の味で。
吉田から揚店
吉田美代子
阿蘇においしい唐揚あり、のうわさは風に乗って広まった。
テレビが取材にきて「たしかにこれはうまい」と実感し、伝え、さらに広まる。
気づけばこの小さなさりげない「昭和の香りがする店」は名所になった。
吉田美代子さんが、「子育ての手も離れて」何かやろうと考えたのは昭和五十年代。あれこれ迷わず、唐揚と決めたのは直感だった。
気取らず、気負わず、ふだんの自分の味でいこう。それがよかった。
家庭料理の親しみと、からっと揚げる主婦のワザが「庶民の名品」を生んだのだ。
わたし一代で終わりと思っていたけれど、うれしいことに孫のマー君が、
「ばぁば、ぼくが加勢しようか」と名乗り出てくれた。
だからいまは補佐にまわる。マー君はアイデアマンだ。
おいしさの工夫をあれこれ模索する。
そんなときは、ばぁばと検討会議が開かれる。楽しいでしょうねえ!
「それはもう、楽しいのなんのって」