伝統を守りぬいて、さらに深めていける。
後藤万十店
後藤祐次郎
大学院で植物学を専攻し、研究生活をつづけていた。
「おもに名もない雑草をテーマとして、野山を調べていました」
その方面で仕事をしていくと決めていた後藤祐次郎さんにオファーがあった。
祖母の代からつづけてきたまんじゅう店を受け継いでほしい、と。
迷った。が、祖母や母の情熱を間近で見てきた優しい青年は迷ったすえに、「わかりました」と答える。
そうと決めたからには、もう気持ちを切り替えた。
「代々伝わってきたまんじゅうのたね(麹菌)は、うちだけのものです」
幼児のころから見てきた祖母の「甘酒万十」をずっと誇りにしていたのだ。
ネット販売は急激に普及している。
もちろんその利点は大いに認めるけれど、
「やっぱり、お客さまに出来たてを手渡ししていきたいです」
新しいもの珍しいものばかりがいいものではない。まんじゅうだって、そう。
伝統を固守し、さらに深めていける一品だと信じている。