母が子へ「いのち」を渡すスプーンのように。
mother spoon
古川寛貴
多芸多才の人である。絵を描かせればうまい。
企画を立てさせればユニーク。唄を歌わせると玄人はだしである。
世に「なんでもこいに名人なし」ということわざがあるが、古川寛貴さんの場合、なんでもこいの名人と言ってまちがいない。
絵でも唄でも共通して「温もり」があり、人をほんのりさせるからだ。
大分県の美術学校で油絵を学んだ。阿蘇に来て、カルデラに堆積した阿蘇黄土(リモナイト)を扱う企業で数年過ごしたのち、テレビ局の報道にも携わりながら、デザインの制作活動を展開する。
個人的屋号はmother spoon。
作品に添える落款に使っているこの語は、母が子へ食べ物という「いのち」を渡すスプーンのように……、という趣旨から決めた。
そんなナイーブな作家はまた、J ‒ POPから演歌までの楽曲を披露し喝采を浴びる歌手「阿蘇狩男」なのだ。
「今後もさらに面白いことを探りたい」。
阿蘇という素材をフルに生かして。