掲載された内容は取材時のものです。
地球の歴史を伝える褐色の土と向き合う。
日本リモナイト
辻 誠
九万年前、日本列島のひとつの火山が大噴火を起こした。
それは世界でも希少な規模のカルデラを形成し、水を湛えた。カルデラ湖だ。
やがて水は干上がったがミネラル豊富なマグマや植物などの有機物、そして溶け出した鉄分を多く含む堆積物が、はるかな時を超えて今に残された。
火山の名は阿蘇山、堆積物はリモナイト。
阿蘇ならではの褐鉄鉱である。この「火山の遺産」をもっとよく知り、現代の人びとの暮らしに役立てる方途を考えよう。
そうしたこころざしの組織に、辻誠さんは立ち上がりから参加した。
もともと森林インストラクターなど、環境や自然保護の社会活動に積極的に取り組んできた人だ。
この堆積物により地球史を学ぶだけでなく、
「土壌改良や水質活性、畜産、さらに硫化水素を吸着する脱硫剤として……」
幅広いビジネスチャンスに挑み、地域への実質的な貢献も追い求める。
赤みを帯びた土の野は、可能性を秘めた力強い荒野のよう。
そこにすっくと立つ人の見ている先は、まさにアソ・ドリームである。
※「辻」の字は、シンニョウの点がひとつ