つねに「いのち」のリアル場面と向き合ってきた人だ。
その薄井良文さんが二〇一五年から立ち上げた組織が「遊び」を主題としている。
となれば、その遊びとはただの息抜きでないことは十分想像できる。
自然と向き合い、自分を高める行動としての「あそBe隊」なのだ。
東京消防庁で数多くの修羅場をくぐってきた。
阿蘇に帰って広域消防本部に。およそ三十年、筋金入りの火消し男は、県の防災消防航空隊としてヘリコプターに乗ることになり、空からの防災・消防・救助に携わる。
大火傷を負い休養しているとき、現在の活動が頭にひらめいた。自らの身体を遊び道具にして、自然のなかに溶けこむ。そのインストラクターだ。
「火消し男が、人のハートに火をつけようと……」
趣旨に賛同した人びとがすぐに集まってきたのは、気さくな人柄ゆえだろう。
若いときからのシンガーソングライター歴をもち、生命の尊厳を、やわらかい詞と歌声で伝える伝道師でもある。