五嶋一拓さんが大型の鶏のそばに立つとよく似合うのは、きっとすらりとした長身のせいだろう。
楓爽とした力感が溢れるのだ。
かつて熊本には天草大王と呼ばれるわが国最大級の鶏が飼育されていた。
「博多の水炊き」などとして珍重され、人気も高かったが、残念ながら時の移りゆきのなかに絶滅した。
「その伝説の地鶏が復元されたのです」
熊本県農業研究センターが過去の文献をもとに選抜交配を繰り返し、十余年の歳月をかげて、「天草大王よ、ふたたび」を実現させた。
「軍鶏の血が四分の一入っているので、気性はやはり荒いです」
飼育にも、細やかな気遣いが欠かせない。
この伝説の地鶏を、阿蘇で唯一扱っているのが「あそ大王ファーム」だ。
群をぬく美味との評価が安定している逸材を、万全の安全体制のなかでじっくり愛情こめて育て上げている。