いい仕事を重ねれば、信頼はついてくる
龍建
高日龍治
熊本市の建設会社で三年あまり修業し、阿蘇に帰ってきた。
父は腕の立つことで評判の大工である。子どものときから憧れていた。
その名人とともに仕事を重ねていき、三十歳で独立する。
もちろん大いに尊敬する父だが、そこは職人と職人、ぶつかることもあって、不安はあるが思い切って一本立ちを選んだ。
「独立することのきつさは、人並みに味わいました」
そういうなかで、人間関係の大事さなど多くを学んだことは収穫だった。
ひとつずつ実績を積み上げていくしか方法はないと思い知る。
純和風の木造建築を得意としているのは、やはり父譲りか。
「内容の大小ではなく、どんな仕事も自分の全力を傾けたいと……」
それが独立したときからの信念である。
職人としての自負はつねに持ちつづけながら、施主の希望をきめ細かく汲んでいく、そういう大工でありたい。