掲載された内容は取材時のものです。
ピアノ教室は、部活とはちがいます。
しがピアノ教室
志賀総学
ピアニスト独特の、しなやかで繊細な指先である。
その指が、流れる春の風のように鍵盤を動いていく。優しい音だ。
志賀総学さんがピアノに親しみ始めたのは小学校三年生のとき。
「四歳下の妹が先に教室に通い始めていたのですが……」
すぐやめてしまった。せっかく買ったキーボードがもったいないから、お兄ちゃんにお鉢が回ってきたのだ。その兄が思いがけず開眼する。
中学へ高校へと進んでもピアノをつづけ、上達していった。
大分県立芸術文化短期大学、平成音楽大学で本格的に学び、この道まっしぐら。
第五十回熊本県新人演奏会に出場し、地歩を固めた。
小学校の非常勤講師を務めたあと、複数の教室でピアノを教えている。
「子どもたちにとって、厳しい部活みたいなあり方にはしたくありません」
そのために講師みずからが音楽本来の楽しさを求めていく。
講師業ばかりでなく、むろんユニークな演奏活動も積極的に繰り広げる。