食べることは、愛すること。
阿蘇市食生活改善推進員協議会
大空靜子
太平洋戦争のあと、人びとが直面した大きな問題のひとつが食生活だった。
栄養バランスのとれた食事がいかに大切であるか。いかに人間の根本を支えるものか。
そうした考えを戦後復興に励む人びとに訴え、普及していくのを目的に日本食生活協会は生まれた。
山の中までバスで巡回し、講習会を開き、じっさいに料理を作って試食してもらう、画期的な活動だった。
よりよい食生活を定着させるためには、こうした地域に根ざした活動が欠かせない、という問題意識から新たな組織づくりが行なわれた。
それが食生活改善推進員協議会である。
創設の精神を受け継ぎ、「食の大切さを具体的にわかっていただこうと、保育園から老人会まで、レシピを作って幅広く訪問活動を繰り広げています」と大空靜子さん(写真中央)が語るように、「食」の伝道師であり、地域の健康づくりの案内役を担いつづけているのだ。
熊本地震が発生し、出荷できなかった地元のアスパラやキュウリをはじめ、全国から激励の野菜や果物がぞくぞくと届けられてきた。
「日本列島の野菜たちが集まったみたい。ほんとうにありがたかったです」。
その膨大な量を次々にさばいて料理に仕立てたのは同協議会のお母さんたちだ。
そう、食べることは、愛することなのだ。