猿まわし芸人 髙野真実

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掲載された内容は取材時のものです。

五歳のまる君とは、一心同体である。

猿まわし芸人
髙野真実

山口県の瀬戸内海沿岸で生まれ育った。母がやっていた「町の床屋」の跡を継ぐべく、東京に出て住み込みで修業した。国家試験も合格し、さて故郷に帰るかという二十三歳のとき、ひょんなことから猿まわしのアルバイトに誘われた。
これがその後の生き方を決めるなんて思いも寄らなかったが、子どものときから人を楽しませることが好きだったし、猿に心が通うものがあった。故郷に帰り、母にその気持ちを伝えると、「おまえの人生だ、好きにやりなさい」。その一言で決断した。
1989年、日本初の猿まわし専門劇場が阿蘇にできた。そこで仕事することになり、猿のケガをきっかけに動物病院の看護師でありトリマーである女性と知り合う。今の妻だ。
2015年、独立してフリーの芸人となる。正しくいえば、現在五歳のニホンザルまる君と一心同体のエンターティナーである。妻はマネージャーとして支えてくれる。最近、一歳のこたろう君も仲間に入った。阿蘇人になってすでに三十年。すっかりこの風土に惚れこんでいる。「この地でこの芸能文化を根づかせたいと痛切に思います」。決して手抜きしない、情感ゆたかな芸にファンは多い。