目標は、父に追いつき、追い越すこと。
米農家
中山北斗
テコンドーでオリンピックを目指していた青年が、米のオリンピックで金賞を取った。
初めて収穫した新種“ぴかまる”が、「第18回 米・食味分析鑑定コンクール国際総合部門」で、5,400品の米の頂点に輝いたのだ。
「テコンドー以外で、初めてホメられました」。
米作りは、一から父に学んだ。「厳しい環境の阿蘇で露地栽培をすると、苗が枯れてしまうこともあるが、生き残った苗はより強い子孫を残す」という教えに従い、刈り取りまで完全自然農法で育てた処女作。
草取りやあぜ切りなど、手間は半端なくかかっている。模索しながらも、いま、農業という自然相手の格闘技に夢中である。
金賞を取って、“ぴかまる”の認知度は急上昇。阿蘇駅前の道の駅では、2kg7,000円で販売。海外からの観光客には人気の日本みやげとなった。
次の課題は、安定供給だ。梅雨や台風、高温などの影響は大きく、毎年条件は変わってくる。
それでも、「大切なのは、勉強・実験・愛情・努力」という父の哲学を継いで、手をかけ工夫を凝らして実りの季節を迎える。
時間があれば、父譲りのハーレーでツーリングに出る。趣味も米作りも、全力疾走だ。